言理の妖精語りて曰く、昔々ないところに、魔法少女のきゆらという少女がいました。魔法少女というのは、魔法を使う少女のことではなく、魔法によって作られた少女のことです。彼女は、魔法使いによって作られた、動く泥人形で、人の欲望のはけ口にされていました。
たくさんの男の人が、彼女を使って、普段、表に出すことのできない欲望や、自分の愛する人に行うことのできない行為を行いました。
ある時、そんな男たちの中にひとりの男の子がおりました。その男の子の名前は、あらやと言いました。あらやは、その魔法少女のきゆらに恋をしました。魔法少女は、魔法でできていますので、目の前の人間の望むようにふるまうのです。あらやは、きゆらといるときにたくさんの話をしました。遠くの誰も見たことない空を飛ぶ巨大な豆腐の話、遠くの砂漠にある、巨大な虹色のカタツムリの上にあるという動く町の話、たくさんの魔女の住んでいる霧の中にあると言われている塔の話、ラクルラールという人形使いと彼女の恋人の二人の男の話、ジャッハフリムとハッフハリムというふたつの都市の話、涙で世界を沈めたレストロオセという女の子の話、鉄をもたらした双子の姉妹の話。そんなたわいのないおとぎ話を、きゆらは微笑んで聞いていました。
ある日、少年は、この魔法少女を、どうしても人間にしてあげたいと思うようになりました。
そして、少年は少女を連れて、町を離れ、旅に出ました。旅に出る中で、様々な試練を潜り抜け、少年は、魔法少女を人間にできる魔法使いのもとにたどり着きました。
少年は、魔法使いに魔法少女を人間にしてもらうように頼みました、魔法使いが、彼女に魔法をかけると、彼女は泥人形から、みるみる人間の少女になりました。少年は喜びましたが、少女は泣きはらしながら、少年を罵倒する言葉を投げかけ、今まで、自分がされてきたことを嘆きながら、世界を呪い、少年の男根を切り取ってしまいました。
そして世界を呪う魔女となりました。
これが、魔女きゆらの、始まりの話です。