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小島アジコの落書き置き場

おもに幻想再帰のアリュージョニスト、ゆらぎの神話関連の落書きを上げています。

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エルダードラゴンの三人目の兄弟

ゆらぎの神話 現代神話

言理の妖精語りて曰く、ここでないどこかに、とある市があり、ひとりの市長がありました。市長には三人の息子がおりましたが、誰を後継者にするのかで悩んでいました。一番上の兄弟は力が強く、市一番の豪傑と呼ばれていました。彼に勝てるのはゆらぎ物産の社長くらいでした。二番目の兄弟は知恵にたけていました。彼に知恵比べで勝てるのは金城博士くらいでした。三番目の兄弟はエルダードラゴンでしたので、人の話と常識が通用しませんでした。三男に後を継がせるのはないな…と、市長も心の中で思っておりました。
市長は、この三人のうち、誰に自分の跡を継がせるのがよいか、市役所でも知恵者として称えられている助役に相談しました。
助役は「ここから西の方に、固定資産税を滞納している魔女がおります。その魔女を打倒し、固定資産税を納めさせたものを次の市長にするというのはどうでしょう」
市長には、そのアイデアがとても良いものに思えました。
そして、三人の息子に、魔女から、固定資産税を納めさせたものを次の市長にするといいました。
ひとり目の兄弟が、魔女の屋敷に行きました。魔女の家は広大な土地を持つ豪邸でしたが、庭は荒れ放題で森のようになり、また、家の中はゴミだらけのゴミ屋敷でした。
一人目の兄弟は、魔女に「こんなに庭があれて大変でしょう」というとその力自慢で、庭の木を斧で切り倒し、雑草を抜き、庭をきれいな手入れしました。魔女の荒れた庭は輝く庭園になりました。魔女は満足そうに微笑みましたが、「私はこの森のような庭が気に入ってたんだ、もっと荒れていてもいいくらいだったのに」といって、一人目の兄弟を追い返してしまいました。
二人目の兄弟が、魔女の家にいきました。二人目の兄弟は、魔女の家があまりにゴミで埋め尽くされているのをみて、「こんなにゴミだらけで大変でしょう」というと、近所の人から“あの家のゴミでこまっている”という証言をとり、行政代執行を使って、魔女の家のゴミをきれいにしました。魔女はまた満足そうに微笑みましたが「私はゴミに埋もれて過ごすのが好きなんだ、前のゴミだらけの方が居心地がよかったし、もっとゴミだらけでもよかったくらいさ」と言って、二人目の兄弟を追い返してしまいました。
三人目の兄弟がやってきました。三人目の兄弟に魔女は「お前の兄は庭をきれいにして、ゴミを全部捨ててくれたよ、さてお前は何をしてくれるんだい?」といいました。三人目の兄弟は「兄から、魔女さんはもっと庭が荒れていたほうがよくて、もっとゴミだらけだったほうがいいと聞きました。なので、この家の庭を前以上の森のようにして、この家をもっとゴミだらけにします」と言いました。
三人目の兄弟が世界が震えるような雄たけびを上げると、魔女の庭から異界の植物がにょきにょきと生えてきて、庭は以前の庭以上に怪しい植物と得体の知らない鳥とトカゲと魚を合わせたような異形の小動物で埋め尽くされました。
そして、三人目の兄弟の背中から光輪が広がり、あたり一面に広がったと思うと、空間が遠くの産業廃棄物の処理場がつながり、魔女の家は、前以上のゴミで埋め尽くされました。そこへ、庭から這い出てきた人間の顔をした虫が蠢き、控えめにいって、地獄絵図でした。
三人目の兄弟は、得意げに、「魔女さん、ほかにしてほしいことはありますか?固定資産税を払ってもらえるならなんでもします」と言いました。三人目の兄弟は、ただ素直に魔女のいうことを聞いただけでしたが、魔女はただの嫌がらせ、地上げの手口だと思いました。
起こった魔女は「お前はこのゴミだらけで汚い部屋に住めると思うのかい?住めるものならここに住んでみるといい!」といいました。三人目の兄弟はその言葉を真に受けたので「それでは今日からこの家に住まわせてもらいます」といって、この家に住むことにしました。
ここまで汚く、また異界の生物の蠢く家にはとても住むことのできない魔女は、この家を出ていき、実質的に三人目の兄弟がこの家を占有することになりました。
その後いろいろあって、魔女は土地と建物の権利を手放し、土地と建物を競売にかけることによって、三人目の兄弟は固定資産税の回収に成功しました。
見事、固定資産税の回収に成功した三人目の兄弟は、約束通り父親の市長によって後継者に指名されましたが、選挙で負けました。





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